「ずっと若くありたい」という願いは、人類共通の祈りに近いものです。しかし40歳を過ぎた頃、私たちはふと、身体の奥底から響く「沈黙の衰え」に気づかされます。それは単なる体力の低下だけでなく、気力の減退、そして誰にも言えない性機能の陰りとなって現れることがあります。この記事では、筆者が直面した絶望と、そこから救ってくれた「スクワット」や「デッドリフト」という名の野生の儀式について、実体験を交えてお伝えします。
- 40代男性が直面する「テストステロン減少」の実像
- なぜ「しゃがむ(スクワット)」ことが性機能回復に直結するのか
- 多忙なビジネスパーソンこそ筋トレをすべき「生存戦略」としての理由
- 身体の主導権を取り戻し、年齢を重ねることを楽しむためのマインドセット
40歳の境界線:「男性更年期」の実感と20代の頃のスーツ
来月で41歳になる私は、少し前から体調の違和感を感じていました。ストレスに敏感になり、様々なことを受け流すことが難しくなりました。日常的に運動をしているのにも関わらず、体型にも変化が現れ、腹回りが太くなりました。そして何より、疲れて横になった自宅のソファーから感じた匂いと、男性機能の不調が、自分にとってショックでした。そんな時にふと、クローゼットに仕舞ってある一着のスーツを手に取りました。大学生の頃、両親に初めて買ったもらったスーツですが、私は今でも大事にこのスーツを取ってあります。ジャケットは着ることが出来るのですが、パンツのボタンを閉めることが出来ませんでした。わかってはいたけれども、「自分が確実に変質している」という感覚が、私にはとても気持ちが悪く感じられました。
- 階段で息が切れる、長い距離を歩くと翌日に響く体力の減退
- 胸の動悸
- 朝、目が覚めた時に体の奥に残っている疲労感
- 一時期、かなり深刻に悩んだ「性機能」の明らかな衰え
- 仕事への意欲はあっても、身体がついてこないもどかしさ
この頃の仕事は連日深夜に及び、ストレスも多く、肉体的にも精神的にも私は行き詰まりを感じざるを得ませんでした。楽しみといえばワインと食事。ジムにも通っていたし、それで肉体と精神のメンテナンスをできているつもりになっていました。けれども私は、「男性の更年期」から逃げることはできませんでした。前述の通り、私は男性として精神的にも肉体的にも、非常に不安定になっていました。
「男は黙ってしゃがめ」──しみけん氏の言葉からの気づき
男性の更年期の原因は、男性ホルモンであるテストステロンが減少することによって引き起こされます。よく男性は歳をとると怒りっぽくなるということが言われますが、それはどうやら、男性の更年期障害の症状の一つのようです。他には、動機や息切れ、性機能の減退、気力の減衰など、先に私が実感した症状が挙げられます。私は、女性には更年期というものがあるのを知っていましたが、男性にも同様のものがあることを認識していませんでした。そして自分がこんなに早い時期にそこに当てはまることになるとは、本当に夢にも思っていませんでした。
女性の更年期障害は卵巣機能の低下により女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減り、ホルモンバランス崩れることにより自律神経系が混乱し、のぼせ、イライラ、不眠などの症状を引き起こされます。閉経の前後5年間、一般的には45歳〜50歳の頃に症状が現れるそうです。
一方で男性の場合は、40代以降の加齢に伴う男性ホルモン:テストステロンの減少に仕事などのストレスや不規則な生活習慣が重なると、ホルモンバランスが急激に乱れ、身体的・精神的な不調が引き起こされるそうです。そして男性の場合は、更年期に終わりが無く、適切なケアをしなければ身体的・精神的な症状は生涯続きます。医療機関を受診したり、生活習慣の改善を行うことにより、症状の緩和をする必要があります。
私はまだ41歳になるところです。今からホルモン治療をするのは、気が引けました。生活習慣を見直し、とにかくストレスと疲労を溜めないように心がけましたが、なかなか改善の効果を実感することが出来ずにいました。そんな時に出会ったのが、この項のタイトルにも書いた「男は黙ってしゃがめ!」という指摘でした。確かに、それまでの私は受け身としての改善を心がけていましたが、まだ攻めの改善をしていませんでした。ジムに通ってはいましたが、腕や胸の筋トレばかりで、本当に苦しいトレーニングは避けていました。
科学が証明する「下半身」と「ホルモン」の相関関係
前述のとおり、男性ホルモンである「テストステロン」は、加齢とともに減少していきます。これが「男性更年期(LOH症候群)」を引き起こし、精神的な不安定や性機能などの身体機能の低下を招きます。
それから私はスクワットやデッドリフトを最低週に一度は取り入れ、怪我のないように気をつけながら、最大筋力を発揮することを心がけました。ボクシングも始め、フィットネスではなくひたすらにパンチ力と心肺機能を磨きました。まるで新しい自分に生まれ変わるような生活の変わりぶりでした。そうすると段々と体調が回復し始め、今現在ははひとまず、症状は落ち着いています。
私の例が極端な例なのだということは承知しています。まず誰もが私のように40歳になってすぐに更年期を実感するわけではないと思うし、誰もがストイックに筋トレやボクシングを始められるわけではないことも承知しています。ただここで私が大事だと思うのは、「男性更年期の症状は生活習慣でだいぶ抑え込むことができる」という事実です。もちろん、私はまだ41歳になるところですから、これから先さらにテストステロン値が下がったときに、いつかは医学的なアプローチを取り入れなければならない日が来るのかどうか、それはわかりません。けれども「男性更年期」の症状とはうまく付き合うことができる、というのは私にとって重大な発見でした。
もちろん今でも疲れが溜まっているときや睡眠時間が少なくなってしまったときには、胸の動機などを感じることがあり「男性更年期」そのものがなくなったわけではなく、今はコントロールできているだけですが、そのために取り組んだ運動から得られた興奮や楽しさ、上達の喜びは、私の人生をより豊かにしてくれました。だから私は自分が他の男性たちよりも少し早く「男性更年期」の症状を自覚したことは、自分の人生と意識して向き合うためのチャンスを与えられたのだと思っています。
筋トレがもたらす3つの精神的・肉体的恩恵
ジム通いを続けるうちに、私の身体には驚くべき変化が現れました。それは数値上のメリットを超え、人生の質(QOL)そのものを底上げするものでした。
身体は、あなたが「使う」のを待っている
最後に、差し出がましいようですが、筋トレには興味があるけど「ムキムキになりたくない」と心配される方たちへ、伝えたいことがあります。ボディビルの第一人者であるアーノルド・シュワルツネッガー氏は、「ムキムキになりたくない」と尻込みする人々に対してこう言いました。「安心してくれ。あんたにはなれないから」。実はあのような体は、筋トレに生活の全てを捧げた異常な努力の果てに初めて手に入れることができるものです。私たちが普通に筋トレをしても、あのような身体に近づくことも出来ませんから、安心して筋トレを始めてください。
そして「自分の身体」という自分だけの神殿を、いつまでも自分の意志でコントロールできるように頑張りましょう。40歳からでも、トレーニングをすると身体はきちんと応えてくれます。それは私が証人です。むしろ20代の頃よりもずっと体の変化を実感できるかもしれません。諦めるのはまだまだ先です。ひょっとしたら一生諦める必要などないのかもしれません。
- 自分の身体の現在地を「数字(基礎代謝等)」で把握する
- スクワットを生活に取り入れ、ホルモンのスイッチを入れる
- 「全力を出す恥ずかしさ」を捨て、自分だけに一生懸命になる
- 身体が変われば、年齢を重ねることが「恐怖」から「楽しみ」に変わる
「オヤジ臭いソファ」に絶望した40代の私が、ボクシングで自分を取り戻すまで。 「男性更年期」 と向き合った著者の生活の変化と成果について。
あなたは人生の手触りを大切にしていますか?
































